公益財団法人三菱UFJ信託奨学財団

高橋 裕介

Scholarship 2007年版 第18号

 

この絵は、当時九州大学大学院工学府修士2年 高橋裕介さんに描いていただきました。

以下はこの絵とともに寄せられた高橋さんの言葉です。

 

 

『流跡』
「流れ、というものは例えば風や水流、ときには時間であったりと、身近なものでありながら非常に曖昧として捉えづらい対象であるように思えます。私がそれに対して興味を持ち、幾度か絵画の主題としてきたのは大学を卒業し、大学院に入るころからでした。 多くの人にとって貴重な時間となる大学の4年間、私もやはり様々な体験をしました。人との出会いや友人たちと共にした喜び、近しい人の死や別れ、将来に対する漠然とした想い。そして過去のことになりつつあるこれらのことを、私はいま眺めることができます。現在の私はそれまでの自分によって成っており、これからの私も現在の自分がつくり出すものであるでしょう。大学院生となって流れを主なテーマとして絵を描くようになったのは、このような連続性を感じたためなのかもしれません。この絵の主題も同様のものであります。稚拙なものではありますが、私が表現したかったことに少し近づけたような気もするのです。」
(平成19年10月)